ハンク氏 出版プロジェクト報告

「秘書の件は、いかがでしょうか?」
今年の春から取り組んでいる、南インド バンガロールの
カウンセリング・センター(ASV)での出版プロジェクト。
若者のメンタルケアを対象とした、ユニークなカウンセリング療法
を本にするには、超多忙な著者であるハンク・ナン氏のサポートに
秘書をつける応援をしようと、GHで雇用費用を支援していた。
しかし、何ヶ月たっても秘書雇用の知らせが届かない。
GHI(ギビング・ハンズ インド)のスタッフから再三
連絡させても音沙汰なし。
しかたがないので、10月インド人スタッフ率いて現地訪問する
ことにした。スタッフはサラリーマンなので、訪問は日曜日。
上記の問いにハンク氏は、さらりと答えた。
「あ~ 彼女は今日、日曜だから休みだが、明日は出てくるよ~」
え? 彼女って・・・ すでに【秘書】という特定の人物が
存在するわけ? それとも質問の意味が通じてなかった??
一瞬、受け答えできないまま、違う話題になってしまったが、
再度確認してみた。
「あの~ 秘書は、もう雇われたのですか? それはいつ?」
答えはYES、それも2ヶ月も前に。それを聞いたスタッフと
顔を見合わせ、思わず笑ってしまった。
あれほどヤキモキしながら報告を待っていたのに、なにごとも
なかったかのようなハンク氏の爽やかな対応と、しっかりと
プロジェクトが進んでいることに、ようやくひと安心した。
こちらに報告してくれないと、秘書雇用費の補充もできないの
だが、そんな重要なことも二の次になるほど、ハンク氏に休養
などない。
どこからそのバイタリティがあふれてくるのかと、わずか雇用
されて2ヶ月の秘書が、ハンク氏の人間性を絶賛していた。
あとはこの二人三脚で、本が出来上がるのを待つだけである。

闇を抱える人間たち

「この映画はタイのかわいそうな子どもたちの映画ではない。
日本や先進国の児童買春する者とそれらを創り出す社会を
告発する社会的な映画なのだ」
と主張される、人身売買の実態に詳しい大学教授からの
アドバイスを受け、坂本順治監督が制作された映画
【闇の子供たち】を観てきた。
このような人身売買のもっとも大きな要因は、貧困や格差社会
なのではなく、需要側に問題がある。
先進国側での需要が削減されていないのに、いくら供給側を水際
で防止しても、元の木阿弥。また、人身売買問題は「悪者」だけを
退治すればいいという単純な問題ではない。

とコメントされている教授の言葉に、現在の日本のさまざまな問題
が浮き彫りされたようだった。
いじめ問題は、被害者のケアも大切だが加害者のこころのケア
にも配慮しないと、問題解決にはならないように。
わたしたち人間は、誰しもどこかに【闇】を抱えて生きている。
その【闇】と直面することが、すべてのスタートなのだと・・・
なぜなら、小さくても闇の部分は見たくないし、だから先送りされ、
より認識されにくくなって、取り返しがつかなくなる。
それが社会問題になっていく。
会社建て直しの優秀なコンサルタントがすることは、まず平社員の
家庭訪問からはじめるのだという。それも家の周りの調査から。
家屋周辺が散らかっていたなら、家庭内に問題ありのサインだと
読み取り、その修正からスタートするのだと聞いたことがある。
この【散らかり】が【闇】の部分であり、こころのサインである。
なるべくなら見たくないこの闇を、【闇】と認識したときから、
解決に向かうのならば、重たい腰を上げてみるもの悪くはない。
結局は、先送りするだけなのだから・・・