趨吉避凶(すうきちへききょう)

日本不在だったので、定期的に通っている
整体に久しぶりに行ってきた。
「しばらくぶり、調子はいかがですか?」
   南米に行ってまして、ちょっと時差ボケです
「あ、それはね、磁場ボケもあるから、よく歩いてください」
   ! なるほど、磁場ね・・・
時間磁場高度差が、一週間かけて調整されている
らしく、2日前からがおかしい。
3600m級の高地から平地に降り、12時間の時差と
地球の真反対の磁場に降り立った翌日から、仕事を
タイトに入れ、夜まで勤しんでいた。
ホッと一息ついた頃、耳鳴りと、高度差時に起こる
イヤプレーンのような感覚に襲われた。
耳のことなら、うちには専門家がいる。→ 甥っ子
   耳が変なんだけど、耳に入れる液体薬ある?
「え? 耳垂れでも起こしてるの?」
   いや、痛いのさ
「じゃ、必要ないね」
リッパな耳鼻科医さながら、わたしを診断していた。
心配なら耳鼻科に行け、と・・・
それはイヤだと言いつつ、耳の不具合を訴え続けたら
「人生の半分、耳鼻科に通ってる俺はどうする!!」
と嘆きながら、中耳炎なのか、ただの炎症なのか
症状を聞き出し、彼なりのアドバイスをくれた。
で、最後に一言。
「俺はもう、中耳炎になる直前に察知し、治す方法を極めた」
    んなこと、できるのか?
詳しく聞いてみた。なんでも中耳炎とは、鼓膜の奥の
中耳に炎症を起こし、その膿が鼓膜を浸透して外耳に
出るとき、ものすごく痛みがあるのだと。
何度も小さいときから中耳炎で悩まされている彼は、
なる直前の体調の変化を察知できるまでになっていた。
耳も鼻も口もつながっているので、その体調の変化直後
膿が鼓膜を浸透する前に、鼻から膿を引き出し、口にまで
誘導してしまう
という。
この 『』 を習得することにより、それ以来 『痛み』 から
解放されることになったと、勝ち誇っていた。
厳密に言えば、「治す方法」を見つけたわけではない。
中耳炎とは一生付き合っていかなければならない、
彼の弱点である。その弱みが出たときの「痛み」を
避ける方法を極めた
、というだけだ。
また、彼の身体には、その弱みがあるゆえに、
ムリをすると耳が信号を送ってくれるという、便利な
身体調整アラーム装置』が備わっている。
画像

道教には 『趨吉避凶』 という言葉がある。
凶を避け 吉を受け取る」ということ。
これは “福はうち、鬼は外” 的単純な、
悪運を避け、幸運を呼び込むということではない。
それには、ちゃんとルールとコツがある。
たとえば台湾の会社や飲食店では、拝好兄弟
(パイハオションティ)という供養を見かける。
これは、客足が鈍ったときに、やる習慣だと。
「好兄弟」とは、無縁霊のこと。拝=施し。
つまり会社や店で、これでもかという食べ物を
目に見えない霊に施し、その代わりに、お客さん
を連れてきていただく、という一種の取り引きだ。
これで売り上げが実際上がるというから
今でも経営者にとって馴染み深い行いだという。
また、事故に遭う、怪我をするかもしれない運勢が
予測できるときは、その前に 『献血』 に行くと。
これは、前述した「痛みの選択」のことだ。
http://giving-hands.jp/blog/wp-content/uploads/201004/article_4.html
つまりルールとは、原則的に吉凶は避けられない
ゆえに、『』は逃げまどっても、先送りするだけ
ならば、あらかじめどんな吉と凶を受けなければ
ならない運命にある(天気予報のように)のか知り、
それを甘受する「やり方」にコツがある。
できるだけ凶のダメージは軽減し、吉の喜びは持続
させる
方法を取ることが、効率よい生き方だと。
もちろん、嵐とわかっていて無防備で泳ぐ選択(早く垢は
落とせるが底にも落ちる可能性あり)もあれば、どうしても
航海せねばならぬなら、完全防備で出航するのか、
ハタマタ休航するかどうか、最終的には『クリヤマナ』
という自由意志
が決めること。
古代の賢者は宇宙のルールを理解していたから、
エネルギー保存の法則』でそれをコントロールしていた。
それが、苦しみは他の方法に転換し、 → 軽減
喜びは他にも分け与える、ということ。  → 持続
それには、自己の弱み強みを知り、その強みと弱み
勢いの時期を知ることが、極めて重要なのだと。
それを賢者は 『』 に聞いていた。
なんでも与えられ、恵まれた身体と環境がいいかと
いうと、宇宙のルールを無視することで、その状況
が一転するかもしれないのだ。
それよりも、少しぐらい不具合があったほうが、智慧が
働きどんな事をも乗り越えられるが身につく。
インド人が数学得意なのは、理由がある。
「だまされないよう暗算」する術が、生き延びる道なのだと。
甥っ子の中耳炎克服法を聞きながら、つらつら
こんなことを感じた。

投稿者: givinghands

2007年3月からスタートしました、特定非営利活動法人 ギビング・ハンズ オフィシャル・ブログです。 このブログはおもに、ギビング・ハンズのスタッフや支援者が、インド・ネパールなどへ赴いた際の 活動報告や視察模様などを、写真アルバムを中心にお伝えする目的で作成しました。

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