ちょいと 一休み 

インドに在住するスコットランドの友人からチェーン・メールが届いた。
彼女は定期的に聖なるメッセージを送ってくれる、賢女である。
インドのビザ システムが今年から変わったので、
しばらくインドに再入国できず、困り果てていた。
彼女はどこにいても、心は 『SEVA』(奉仕) に満ちている。
http://www.youtube.com/watch?v=lIfkeuYjtYs
「地球がもし100人の村だったら」が進化した映像ヴァージョンのようだ。
画像が英語なので、日本語に訳してみた。
——————————–
VOTED
THE BEST EMAIL
OF THIS YEAR
選ばれた今年のベストEメール
If you think you are unhappy, look at them.
もしあなたが不幸だと思うなら、彼らをごらんなさい。
If you think your salary is low, how about her?
もし給料が少ないと思うなら、彼女は?
If you think you don’t have many friends…
もしたくさんの友だちがいないと思うなら…
When you feel like giving up, think of this man…
あきらめたくなったとき、この人のことを考えてごらんなさい…
If you think you suffer in life, do you suffer as much as he does?
もし苦しい人生を送っていると思うなら、彼と同じぐらい苦しんでいますか?
If you complain about your transport system, how about them?
もし交通機関に不満があるというのなら、彼らは?
If your society is unfair to you, how about her?
もし社会があなたに不公平だとしたら、彼女は?
Enjoy your life how it is and as it comes.
ありのままの人生を、楽しんでください。
Some things are worse for others
and much better for us.
他の人たちにはもっと悪くて
わたしたちにはずっと良いこともあります。

Does studying annoy you? Not them!
勉強が面倒ですか? 彼らは違います!
Hate vegies?  They starve from hunger!
野菜が嫌い? 彼らは飢えに苦しんでいます!
Does your parents care tire you?  They don’t have any!
親の世話がうっとおしい? 彼らは世話などしてもらえません!
Bored of the same games?  They have no option!
同じゲームに飽きてしまった? 彼らに選択肢はありません!
Someone got you Adidas instead of Nike?
誰かがナイキじゃなくてアディダスを買ってくれた?
They only have one brand!
彼らにはたった1つのブランドしかありません!
Aren’t you thankful for a bed to sleep in?
眠るベッドがあることに感謝しないのですか?
They’d wish not to wake up!
彼らは目覚めないことを願うでしょう!
There are many things in your life
that will catch your eye,
but only a few will catch your heart…
人生において、目をとらえるものはたくさんありますが、
心をとらえるものはほんの少しです…

Are you still complaining?
まだ、不平不満を言いますか?
Observe around you
and be thankful for all
that you have in this
transitory life time…
周囲を見渡して、この束の間の生涯で
享受するすべてのものに感謝しましょう…

We are fortunate, we have much more
than what we need to be content.
幸運にも、わたしたちは満足して
余りある多くのものを所有しています。

Let’s try not to feed this endless cycle
of consumerism and immorality in which
this”modern and advanced” society forgets
and ignores the other two thirds of our
brothers and sisters.
この「現代の進歩した」社会が他の3分の2の兄弟姉妹
のことを忘れ、無視した、この終わりのない消費主義と
背徳のサイクルを推進しないようにしましょう。

Send this presentation without any obligation
or expectation in receiving good luck.
このプレゼンテーションを、義務感を抱いたり
果報を期待したりせずに送ってください。

Don’t keep it, send it and it won’t be in vain.
止めないで、送ってください。
そうすれば無駄になりません。

Let us complain less and give more!
不平不満を減らし、もっと与えましょう!
This email needs to circulate forever…
このEメールは循環させる必要があります、永久に…
———————————–
教えてあげよう。
世界の現状は、わたしたちの心が創り出したものだから

家族の絆

「本物のマーキュリー(水銀)は、同金属にしか吸収されません」
一年前インドで、売人のパフォーマンスに感化された姉が
孫に買っていった「水銀ガネーシャ」。
画像

瞬く間に、硫化水銀は固形化されたガネーシャと合体した。
2月に風水師匠と高野山に登ってから、すっかりわたしの
お気に入りBOX に入れられた弘法大師空海を、高野山へと
導いたという 丹生都比売(にゅうつひめ)命。
この「丹生(にゅう)」というのが、朱砂、辰砂、丹砂とも呼ばれる
水銀のこと。丹生谷、丹生川、上丹生などと付いている
地名は、水銀鉱山だったというわけだ。
※英語名:Mercury は水星と同じスペルで水星は中国名では「辰星」
この丹を使った霊薬が、いわゆる不老不死の秘薬
ハリーポッターでいうところの 『賢者の石』 だと。
鉱物でありながら水のように流動するこの謎めいた物質が、
他の金属と実に柔軟に「結婚」できることにその秘密はある。
このアマルガム(合金)化した金属を操ることで、
練丹術(錬金術)師たちは、その古代的思考の中で
「この世とあの世」をコントロールしていた。
今では漢方薬にある○○丹というカタチで活躍している。
画像

さっそくわたしも、孫と同じ「丹生ガネーシャ」を
シヴァリンガとナンディのセットで手に入れることにした。
姉が煙に巻かれた例のパフォーマンスに、わたしも
騙されるふりをして、さりげなく値切りながら。
実際、水銀は同金属でなくても鉄、白金、マンガン、
コバルト、ニッケル以外は何にでも容易に結びつく。
売人は、ハサミ(鉄)では吸収されないが、水銀同士は
合体するゆえに、「これは本物だよ!」と。
    しかし、水銀鉱物は取り出すだけでも大変なのに、
    このようなカタチにするのはどうやってるんだ?
突っ込むガイド。
「ある聖者に依頼し、特殊なハーブを使用して作っているんです」
むむ。 聖者って、いわゆる錬丹術師だと?
まあ、いい。これ以上突っ込むと、営業妨害になるだろうから。
わたしにとって「水銀もどき」で十分だ。
不老不死とやらを目指しているわけでもなし。
この水銀アマルガムは、卑金属を貴金属に変える
つまり、不純なものを純粋レベルにするという
神秘を担う媒体だ。
これと似た要素が血液にもあるようだ。
たとえば飛行機事故などで、遺体が損傷していて外観では
見分けがつかない場合、遺骨(乾燥していること)に自身の
血液を垂らすと肉親の場合のみ血液が染み込んでいくのだと。
自分の血液と肉親の骨が、同じ組織構造だからだそう。
「血族」「血は争えない」とはよく言ったもの。
これは、陰宅(お墓)風水でいわれる
遺骨が子孫に感応する」ゆえんである。
家族の絆とは「縁」である。切っても切れないもの。
いくら物理的に離れていようとも、憎しみあって
いようとも、その波動は死んでまで影響を及ぼす。
事情で、まったく見知らぬ地で育った双子などは、
その現象が顕著である。
であれば、家族の絆というものを再認識する必要がある。
少なくとも、生きているうちによき関係性を保って
おくほうが、賢者というものだ。
でないと、来世に持ち越すことになるだろうから。

星の導き 番外編

おもむろにピッチャーに入った水を差し出され、
「飲みなさい」 と。
   ・・・・ Noooo !
インドで生水を飲む経験など、ヒマラヤ山麓から
湧き出た水しかない。拒絶するに決まっている。
なのに、市街地で掘った井戸水を生で飲め、と。
水道水ではないと言われても、そのほうがもっと恐ろしい。
インドの地中から湧く水なんて、何が入っているか未知数だ。
拒むわたしを3人のインド男が囲み、「大丈夫だから!」
と半強制的に飲ませられた。
「土地と建物はお金で手に入るが、
       この水は 『天』 が与えてくれたもの」

裕福男は自慢げに、何杯もの水を現場の使用人に持って
こさせた。それをガイドは、ガブガブ飲み干す。
画像

聞くと、孤児院建設予定地の周辺地区は、
水には恵まれていない。
塩分が多く、汚染されているのだと。
1000人規模の宿泊者を収容する施設に、水の供給は
重要ファクターである。ましてや農業の灌がいには
大量の水が必要だ。
これだけは天に祈る思いで、敷地の20箇所をボーリングした。
すると、わずか200mで驚くようなピュアな水が吹き出したそう。
まるで用意されたかのような、砂漠の中のオアシスだ。
口にした生水は、十分わたしを癒してくれた。
ここでは、たとえ文明の利器が途絶えても、
太陽(電気)と大地(作物)があるから、パラダイスである。
もともとが「水、電力、食料」不足が当たり前の地域である。
今さら「○○不足になったらどうする?」ってな心配は、ない。
だってはじめから無いのだから。
この、「あったら便利、無くなっても困らない」という
自由さが「不安」という得たいの知れないモンスターを
作り出さないのだろう。
今ではあって当たり前の携帯電話がなくなっただけで
精神不安定になるわれわれ文明人と、いったい
どちらが豊かなのであろうか

龍馬 ~ 選択の自由 ~

うちの猫の名は 『龍馬』 である。
というのは20年前。
司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を読んでいたころ。
親しい友人に薦められ全8巻を一気に読み上げた。
その結果、付けられた愛猫の性格は竜馬そっくり。
天真爛漫、自由奔放、日本中飛び回る(わたしが連れまわす)。
束縛が大嫌いで、決して一緒にいることはなかった。
基本 家猫だったが、隙をぬっては外に飛び出し
最終的には、車という凶器に殺された。
実際の龍馬より、司馬遼太郎が作り上げた
竜馬がひとり歩きしていた。
『人は、英雄の史的実像ではなく、偉大な伝記作者
によって創造された”英雄像”から影響を受ける』

まさに、この作品からその影響を受けたひとりである
わたしは、毎日 “龍馬” と格闘しながら過ごしていた。
なぜか。
その友人のひと言。
「君に何か言うのも、龍馬に言うのも一緒だね」
   ど、どういうこと?
「言ってもムダ」 → 聞く耳持たない
   ふ~ん わたしって、やっぱりそうなんだ。
親にはイヤというほど言われてきたが、他人に
言われるのは初めてだった。
批判されているにもかかわらず、妙に嬉しかった。
今思えば、脱藩した龍馬と一緒かもと、勝手に
シンクロさせていたのかもしれない。
そのとき友人はわたしを、わたしは猫を
コントロールしよう
としていた。
画像

ハンク氏のセンターでいつも会う、ボランティアの
フランス人が話しかけてきた。
「今度、日本に行きたいの。チョイス・セラピーを学びに」
選択論理心理学。最近よく聞く。
1996年までは「コントロール理論」と呼ばれていたようだ。
『人が満足できる人間関係をもっていないのは、関係性を
改善しようとして、外的コントロール心理学を用いて
いるからである』
というのが基本概念らしい。
外的コントロール心理学の表れ方は、致命的な7つの習慣となる。
 1:批判する
 2:責める
 3:文句を言う
 4:ガミガミ言う
 5:脅す
 6:罰する
 7:ほうびで釣る
この習慣が実践されるところでは、基本的欲求が
充足されず、問題が発生する。
のだと・・・
しかし、もし上記7つの習慣を幕末時代の龍馬に浴びせ
たとしても、まったく動じず 『世界の海援隊』
創り上げたことだろう。
うちの “龍馬” も、友人から言わせると “わたし” も、
どうやら、この外的コントロールなどお構いナシに、
『選択』の自由とやらを満喫していたのかもしれない。
周囲が大変なのも知らずに・・・
これからも、ただの頑固者にならぬよう、
龍馬のごとく自由とロマンのなかにいようと。

『痛み』 の選択

自ら進んでその役を名乗り出るという
アイアン・ハンギング(鉄棒吊るし)
画像

両頬に、ぶっとい鉄の棒を貫通させている。
見ているだけで痛んできそうな、お祭りだ。
30年ずっと手をあげっぱなしの聖者が存在するような
インドなら、なにも不思議でない光景だが、凡人の
誰がすき好んでこんなマネをするのか。
「どうかこれ以上の痛みがきませんように」
という、一種の厄除け祈願だと。
   なるほど! だったら納得
今年は良くない年だから、他から痛みを被るより、
自ら痛みを起こしておこう

との考えだろう。
本場中国の風水でも、悪い星が家に廻ってくる(事故やケガ)
ような年には、献血にでかけて最初から『血』を流して
しまうそう。
    ~ sacrifice ~ 生け贄 ~ 自らを捧げる ~
身体をみても、発熱や病気は、毒素を出す自浄作用である。
運勢の善し悪しも同じこと。
耐えがたい痛みが生じる前に、小出しで痛みを経験しておくと。
         出費寄付
         損失放棄
       タダ働き奉仕
奪われるエネルギーと与えるエネルギー。
両者とも「失う」ことには変わりない。
しかし、心の開放感は雲泥の差だ。
神々への供養でともなう痛みと、日常で被る痛み
であれば、前者を選ぶに違いない。
背景が理解できると、異様なインドが輝いてみえる。

わたしの鏡

「いい、ファーザー。いくらわたしが編集者を探しても、
あなたのルーティーンワークを変えない限り、
いつまでたっても本は出来上がらないのよ!」
  ・・・わかっているさ、そんなこと。
孫ほどのインド人娘に諭される神父様。
そのやり取りを見ながら、安堵しているわたし。
画像

今年の1月、80歳を迎えたカウンセリング・センターの
ハンク氏。いまだ現役でパソコンを叩き、ヨーガを教え、
先頭立ってカウンセリングを行なうスーパーマン。
たいていこのような施設の創立者は、この歳になると
次世代にバトンタッチし、自らは監視役にまわる。
しかし、ここの長は、あくまでも創立者である彼自身だ。
彼のカウンセリング・メソッドが天下一品だからである。
GHではすでに1年以上、このユニークなカウンセリング技法
を世に出すべく、出版プロジェクトを支援している。
が、訪れる度に聞かされるエクスキュースに、
今回は終止符を打つつもりで再訪した。
彼はファイリングされた3冊の資料を示し、セラピスト
のひとりが膨大な資料からまとめてくれたものだと
説明しはじめた。
画像

    これが即、本になるのか?
「いや、ここからまたピックアップする必要がある」
    あのですね・・・ その作業も誰かにさせて、最終
    チェックだけハンク氏がやったらどうでしょうか?
「ん、そうだね・・・」
焦るわたしの胸のうちを察してか、ここである女性を
電話で呼び出した。
「ハロ~ 君と同じく僕の本を出したいと思っている
日本人が今 来ているんだけど、時間取れるなら、
ちょいと顔を出してみないか?」
仕事場を抜け出しやってきたのは、若い女性建築家だった。
次に登場したのが、ファイリングした男性セラピストだ。
彼は、ハンク氏が手放しで絶賛する切れ者である。
彼自身もハンク氏のメソッドをこよなく愛し、
全面的に支持している。
ここから 4人のミーティングが始まった。
画像

経済的支援者であるGH代表のわたし。
著者そのもののハンク氏。
著者の本をまとめ上げる、サポーターのアーナンドゥ。
出版までの流れを作り出す、建築家のニーラ。
アーナンドゥが言う。
「ハンク氏。資料のほとんどが手書きです。
読みにくいのでデータ入力したいのですが」
どれどれ、と資料に目を通したハンク氏。
「これは、こう書いてあるんだよ」
と、カウンセリング記録を読み返しながら、
「そうそう、こいつはそうだったんだよ。
そう、それでこうかわったんだ。うんうん。よくやった」
   ・・・・
一同が固まっていることなど目もくれず、ひたすら
過去の記録を感慨深げに読みふけるハンク氏。
さらに、最近出版されたカウンセリング本を手にし
「こういう新鮮なメソッドには、非常に興味をそそられる。
いくら学んでも学び足りないよ~」
    この人・・・ わたしと同じだわ
この瞬間、わかった。
なぜ今まで遅々としてプロジェクトが進まなかったのか。
いわゆる彼は、職人なのである。自己の技をその場その場で
使いこなし、成果を見ることが生きがいなのだと。
その記録を残し、次世代に伝えることも、やぶさかではないが、
職人技を使っている現場のほうが、楽しくてしかたないと。
その貴重な時間を削ってまで、個室にこもっての作業は、
できれば 後まわしにしたいもの。
まわりに言われるから引っ張られて、このプロジェクトに
臨んでいるのがヒシヒシ伝わってくる。
まったくもって、わたしの鏡である。
本業である占術を、誰かに伝えないのかとよく問われる。
すごく意欲的で、一発で覚えてくれ、且つわたしの
意向に合ったやり方をしてくれる人がいるなら、
考えないわけではない。
最短距離で伝えることができるなら、現場での楽しみを
奪われずに済むから。
   あぁ~ もっと早くハンク氏の本質に気づけばよかった
しかし、強力なサポーターが得られたので、ようやく
うるさい役割りから降りられるだけでも進歩だ。
やいのやいのと急かしながら、いつも
自分に対して言っていると感じていたから。
12月に来たときはいた、小型犬と猫が他界していた。
移りゆく月日とともに変化していく様を見ながら、
明日はいつもと同じではないのだと
焦操感を覚えた。

星の導き その7

その裕福男は、牛糞を右手でわし掴みし、こねくり回し
「それ」を牛角に、ぎゅうぎゅう詰めはじめた。
   おいおい おやじ~! いいのかい? 
   ご飯食べる聖なる手でウ○コなんかさわってぇ
前触れもなくはじまった彼の実演に、驚いている場合じゃない。
写真だ、写真。
画像

「これを、天の土星と月が一直線になったとき、土に埋めて
しばらく放置するんだ。すると素晴らしい肥料ができあがる」
   ちょ、ちょ、ちょっとぉ~ なによ「一直線」って
   惑星同士がオポジットになるときか?
聞き返すわたし。
「1/7軸(真反対に位置する)のことだよ」
つかさず答える、占星術 通のガイド。
   で、月の満ち欠けは?
質問したら、しばし沈黙。
「waxing (満ちていく) or waning(欠けていく)、どっちだ?」
ガイドと裕福男は現地語で相談しはじめた。
画像

犬と遊びながら適当に話しを聞いていたとき、
裕福男は、切り落とされた牛角を袋から取り出した。
説明し終わり袋が元にもどされた瞬間、脳がいきなり
動き出した。まるでどこかのスイッチが入ったかのように。
   もしかするとそれ 『バイオ・アグリカルチャー』 のこと?
  
「いぇ~す! これぞ正真正銘 『あすとろ・ばいお』 農法さ!」
   わぁ~ 出逢っちゃった!!!!!
まるで恋人にでも再会した気分だ。
日本で農業プロジェクトをはじめたとき知り得た、魅力的な農法。
調べていくうちに、インド農家の多くが取り入れていると。
そりゃそうだ。星(アストロ)のことならマカセロだ。
農民だって知っている。
宇宙のバイオリズムに合わせながら、大地のエネルギーと
植物、牛の角・糞が使われていく。
日本でも取り入れている農場はあるが、なんでも年々
牛角の入手が難しいと聞く。
というか、日本の雌牛は角が生えてくる前に、コテで
焼かれるか切り落とされてしまう
らしいから、入手は
輸入なのだろうが。
その点、牛が山ほどいるインドでは心配ないだろう。
調べなくてはと思いつつ、一年経ってしまっていた農法が
いきなり目の前に現れた。いったい何を質問していいやら。
興奮さめやらぬうちに突如、裕福男が牛糞を掴み、
実演しはじめたというわけだ。
それからの彼は、孤児院説明よりますますハイ・テンションに。
“農業に携わることは、神への一番の奉仕である”
とまで言い切り、炎天下に躍り出て外の案内まではじめた。
   お、おやじ・・・
   頼むから倒れないでくれ~
植物と牛の尿と土から作る、天然ハーブの害虫よけの
講義を聞いているそのとき、
画像

   で、でたぁ また、あのエルク・プラントが!
なんと、ここでも “魔よけ” のエルクがハーブ薬として活躍していた。
まいった。
ここまですべてが繋がっていくとは。
結婚支援 → 孤児院支援 → 農業と
GHが取り組んでいるものが、人との縁で繋がる
これは、ギビング・ハンズ・ファーム 一行 ひき連れ、
ここに研修に来るしかないじゃない。
インド歴10年。未だ手づかみでご飯を食べれぬ情けない
わたしに、牛糞に触る運命など一生こないと確信する。
その代わり、うちのプロジェクトには、雌牛を飼い馴らして
40年の力強いスタッフが、ちゃんと用意されている。
まるで、このアストロ・バイオ・アグリカルチャー
取り入れることが、最初からわかっていたかのように。
帰国した翌日。
長野に出張した。
牛農家と米・野菜農家に会って、さっそく来年度の
インド農業研修計画を立てたのはいうまでもない。
彼らは今年の 『野菜 Box for Two』 の作付に入ろうとしていた。
                             Fin.

星の導き その6

その日のスケジュールは、午後すっぽり空いていた。
渡印中こんなことは、まずない。
    ゆっくり本でも読もっかな~
それが、孤児院視察に取って替わった。
寺院内で年配男性が言う。
「うちの孤児院は、資金は十分あるからこれ以上
必要ありません。それよりも、ノウハウが欲しいのです」
    意味がよくわからん
彼の孤児院は300人の子どもが対象だと聞く。
普通は政府や他からの支援があっても、いつストップ
されるかわからないので、できるだけ資金は集めておきたいもの。
ましてや日本人のノウハウを、どのようにインド孤児院に
生かすのか、皆目検討つかない。
    というか、「ノウハウ」っていったい何の?
聞いているだけでは、まったく話しが見えない。
小一時間ほど車を走らせたところに、広大な土地が見えてきた。
そこにそびえ立つオレンジ色の4棟の近代建築物は
とてもインドのものとは思えないほど、立派だった。
画像

なんでも土地は彼が購入し、建物はドイツの友人の資金
で建てたと。さすが翻訳者だけあり、世界中に友人・知人
がいるらしい。
彼の生い立ちは、裕福家庭のひとりっ子として
何不自由なく育った。
しかし10歳の頃、同じ年頃の子との違いを見て、
その格差に悩んだ
と。
そのとき、大人になったら恵まれない子どもたちに
自分と同じ環境を経験してもらうための活動がしたいと、思った。
その後、十分な教育を受け、結婚もした。
しかし、奥さんには子どもが授からないとわかった。
であるなら、自分が子どもの頃抱いた思いを、
引退後に実現させ、その子たちを育てようと。
インド国内のメイン福祉施設、ネパール、エジプトにと
足を運び、孤児院運営を学び、戦略を打ち立てた。
建物の屋根には全面的にソーラーパネルが張られ、
インド最大のネックである停電による障害を取り除き、
一箇所に集められる排泄物の浄化槽には、バイオ
システム
を取り入れ、循環されたものは畑に使われると。
医療チェックにはアロパシー(西洋医学)ドクターを常駐させるが
治療法はナチュロパティー(自然療法)を取り入れる。
300人の子ども以外に700名の宿泊施設が、スタッフと
国際ボランティアのために用意されるとのこと。
インド国中の孤児を一同に集めるだけでも言語が異なるし
対象は国外にも及ぶため、そこでの共通言語は「英語」となる。
言うならば、インターナショナル施設だ。
これまたスケールが大きい。
ナヴァグラハ孤児院の理事長は、恵まれない環境であった
からこその活動で、逆にこの男性は恵まれた環境だったが
ゆえのものである。
人は、福・禄・寿 三徳すべて均等に与えられているわけではない。
※道教で強く希求される3種の願いのこと。
 すなわち幸福(現代日本語でいう漠然とした幸福全般のことでは
 なく血のつながった実の子に恵まれること=結婚・子宝のこと)、
 封禄(財産のこと=仕事での成功含む)、長寿(単なる長生きでは
 なく健康を伴う長寿)の三徳

ナヴァグラハ理事長は「」には恵まれたが、に苦しんだ。
裕福男性は、「」には恵まれたが、は得られなかったと。
しかし、どちらも持っている徳を使って、足りないものを
別の形に変容させている

これぞ、天が与えた「真の課題」だろう。
ナヴァグラハ神が安易に聖者の「苦しみ」を取ることが
シヴァ神の意思でなかったように、この二人の「不足」
も同じことが言えよう。
裕福男性は、遺産と自己資産、そこに国際友人らとの
連携プレーがプラスされ、ここにパラダイスを構築しよう
としている。
やっと「資金は十分ある」理由がわかった。
そして「ノウハウ」とは、日本語も教えたいと。
こうして、未完成な建物の中で壮大な彼の計画を延々
聞くことに。説明が英語だったので、ガイドの出番はなかった。
ほとんど居眠りしかけていたガイドに、
次は数100m先にある牛舎に行こうとの誘いが。
    ん~ この40度近くの炎天下を歩くのか?
思わず断ろうと思ったが、流れがそうさせてはくれなかった。
わたしたちは頭に布を巻きつけ、覚悟して歩く準備をした。
着くと、牛舎があるだけかと思ったら、牛も犬も数人の
ファーマーまで働いていた。
孤児院自体はまだスタートしてないのに、
農作業だけは、すでにはじまっているというのか?
子どもたちに提供される食事は、すべて自然農法
栽培される食材だと聞く。今から取り組んでおかないと
間に合わないからだろうか。はっきりいってこの話しは
流して聞いていた。
しかして、そこにわたしが一年前から探していた
ある農法が普通に展開されているとも知らずに・・・
     
                       つづく・・・