みんなで考えよう!世界を見る目が変わる12の真実
●飢えに苦しむ人は8億人もいる
世界では8億の人が、いまも飢えに苦しんでいる。慢性的な栄養失調の人が20億人。
飢えや、飢えのせいで病気になって亡くなる人は1800万人。
毎年、5歳未満の子どもが1000万人死亡しているけれど、
その半分は、栄養失調が原因だ。
だけど、地球全体で食糧が足りないわけじゃない。
毎年、全人類が十分に食べていけるだけの食糧が生産されている。
もしみんなに均等に食糧を分けられれば、だれもが十分に食べることができるんだ。
●戦争と政治の腐敗が飢えをまねく
食糧が足りているのならなぜ、と思うだろう。ひとつは政治のせいだ。
自分の国で国民が飢えていてもほったらかしにしている国がある。
指導者たちだけがぜいたくなくらしをしていることもある。
武力紛争も、飢えの大きな原因となる。戦争になれば、政府は食糧よりも武器を買う。
危険なので食糧の輸送もできないし、農業もできない。
さらに飢えは国の経済発展を大きくさまたげる。ちゃんと食べているからこそ、
仕事の能率も上がる。飢えていれば、満足に働けない。だから経済が停滞する。
アフリカのシエラレオネで、農業で働く人の摂取カロリーを平均で50%多くしてみた。
つまり食べる量を増やしたんだ。すると農産物の収穫は16.5%も上がった。
●どうすれば、飢えから人びとを救えるか
豊かな先進国は余った食糧をこうした国ぐにに援助している。
これは必要なことだけれど、長い目でみると、飢えを解決することにはならない。
アフガニスタンでは、国連から小麦が大量に送られてきたせいで、
小麦の価格が下がってしまった。生活に困った農民たちは、
もっとお金になるアヘンなどを栽培し始めた。これでは食糧不足は変わらないだろう。
飢えが少しでもなくなれば、経済が上向いて人びとの収入も増える。
そうなれば、食糧不足を、自分たちの力で解決できるようになるだろう。
かれらが自立できるよう手助けすることが大切だ。
飢えの問題は、貧困、戦争、格差の問題にもつながっているんだ。
「みんなで考えよう 世界を見る目が変わる50の事実」より
ジェシカ・ウィリアムズ 著 草思社