みんなで考えよう!世界を見る目が変わる12の真実
●女性に3人に1人はなぐられたり、強姦される被害にあう
君たちはDVという言葉を聞いたことがあるかな?ドメスティック・バイオレンス、
家庭内暴力という意味だ。「家庭内暴力」というと、
子どもが家の中で暴れるイメージがあるかもしれない。
でもDVは、おもに女性が夫や恋人から暴力をふるわれることをいうんだ。
女性に3人に1人は、生涯のあいだに、なぐられたり強姦されたり、
なんらかの暴力に被害にあうといわれる。
とくにロシアではDVの被害が多い。1年間に1万4000人の女性が夫に殺される。
じつに43分に1人殺される計算になる。アメリカで2000年に殺された女性は1238人。
ロシアでDVがいかに多いかわかるだろう。
●男は女を支配できるという固定観念をなくそう
なぜロシアではこんなにひどいのか。
ひとつには貧困がある。生活苦や住宅不足、
女性を保護するシェルターの不足も指摘されている。
しかし最大の原因は人びとの固定観念にある。
ロシアのことわざでは「男がなぐるのは愛しているから」だって。信じられないよね。
でもこういう固定観念はロシアに限ったことではない。
昔から女性は生きた財産として扱われてきた。娘を嫁がせて、
父親は見返りにお金をもらう。夫は妻を買ったのだから、
好きにしていい ― そんな考え方が根強くある。
現在でも女性が父や夫に絶対的に従わなければならない国がたくさんある。
ヨルダンのように女性が不倫をしたり、親が決めた縁談に従わなかったときは、
殺してもいいという国もあるくらいだ。
1995年に北京で世界女性会議が開かれた。
多くの国が参加して、女性への暴力をなくそうと誓い合った。
でもあいかわらずDVはなくならない。女性に対する暴力はすべての人に対する暴力だ。
どんな暴力も許してはいけない。
「みんなで考えよう 世界を見る目が変わる50の事実」より
ジェシカ・ウィリアムズ 著 草思社