みんなで考えよう!世界を見る目が変わる12の真実
●貧しい子どもたちの厳しい現実
イギリスは世界で4番目にお金持ちの国だ。それなのに、先進国のなかで、
貧しい子どもの割合がいちばん多い。イギリスでは400万人近い子どもたち、
つまり3人に1人はものすごく貧しい生活をしている。
そうした貧しい子どもの数は、1970年とくらべて3倍に増えた。
貧しい家庭に生まれた子どもは、豊かな家庭の子どもたちにくらべて、
生後1週間で死ぬ確率も、子ども時代に事故にあって死ぬ確率も高く、寿命も短い。
おまけに、最も貧しい家庭の子どもたちは、最も豊かな家庭に育った子どもたちにくらべて、
精神病にかかる確率が3倍も高いんだ。
イギリス統計局によると、
1週間の収入が100ポンド(約2万円)未満の家庭にくらす子どものうち16%が、
精神的に問題を抱えている。一方、週給500ポンド以上の家庭では6%ていどだ。
●貧乏な人はいつまでも貧乏な社会のしくみ
日あたりが悪くてじめじめした住まい。夏休みもどこにも旅行に行かず、
家庭で食事に出かけることもない。
そんな貧しい環境で大きくなった子どもたちは、進学もむずかしい。
進学できなければ仕事も満足に見つからず、見つかっても賃金は低い。
ずっと貧しいままだ。
すると、お金もちとそうではない人との間には大きな所得格差が生まれるよね。
イギリスの所得格差は、1990年代に大きく広がり、いまでは1977年の2倍になった。
お金もちはよりお金もちに、貧乏な人はより貧乏になったんだ。
貧しい家庭に生まれた子どもは、一生貧しいという社会のしくみができあがってしまっている。
イギリス政府もようやく貧しい子どもたちの問題に取り組みはじめた。
もし子どもの貧困問題が解決できたら、年間に15歳未満の子ども1400人の命が救われる。
しかしほんとうに貧しさから子どもたちを救うためには、
社会のしくみそのものを変えるくらい、大きな発想の転換も必要だろう。
「みんなで考えよう 世界を見る目が変わる50の事実」より
ジェシカ・ウィリアムズ 著 草思社